パニック障害

パニック障害と聞くと、パニックという言葉から、混乱して、わけが分からなくなって、暴れたり、無意識のうちにとんでもないことをしでかすような病気をイメージされる方も多いと思います。しかし、パニックというのは、不安、緊張をもとにして起こる発作、不安発作のことで、動悸や胸の痛み、息苦しい窒息感、冷や汗、震えなどの症状に、突然おそわれることをいいます。

パニック障害 1

パニック障害とは、不安神経症の不安発作とも呼ばれ、「このまま死んでしまう」「このまま気が狂ってしまう」などのものすごい不安に急に襲われること(パニック発作)を繰り返す疾患です。パニック発作には、しばしば「どうき」、呼吸苦、しびれ感、めまいなどの身体の症状も伴い、本当に死んでしまうかのような体験になります。さらに、パニック発作がまた起こるのではないだろうか、といつも不安になってしまう(予期不安)ことも多く、実際この病気の3割から5割の人は外出先でパニック発作を起こすのが不安なあまりに一人で長時間外出するのが困難になってしまいます(広場恐怖)。一人では全く外出が出来ないというほどではなくても、なかなか停車しない急行電車には乗れないと感じる患者さんは少なくありません。狭義のパニック発作とは少し違うのですが、情緒不安定な時に呼吸が速くなり呼吸苦やしびれ感のような症状がでる「過呼吸症候群」、外出中に「気持ち悪くなって吐いてしまうのではないか」「トイレのないところで急におしっこをしたくなってしまうのではないか」などが不安になって外出できなくなるものもあります。

人が一生のうちにパニック障害にかかるのは2%から3%程度と見られています。多くは思春期から青年期にかけて発症します。放っておいて自然に良くなってしまうことはあまり期待できないようであり、多くは比較的良くなったりまた悪くなったりする波を繰り返しながら長期化してしまいます。またパニック発作は減っても外出恐怖が残ってしまうことも多く、これによって日常生活に大きな支障が出てしまう問題も重大です。

 近年になってSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの新しい向精神薬が登場したこともあって、時に「心の病気」も薬で何とでもできるととらえられがちですが、このパニック障害を含めこれまで「神経症」と呼ばれてきた疾患の治療は特に、精神科治療は薬物療法だけではなく精神療法も必要であることを示しています。パニック発作の予防や予期不安の軽減を目的として行われる薬物療法は実際かなり有効なのですが、薬を中断したときに症状再発がきわめて多い上に、心理的に薬物に依存してしまい薬がないと一人ではどこにも外出できないかのような不安が残ってしまうことは多いからです。またこの症状の背景に何らかの対人関係の問題が隠れていることも少なくなく、薬物による対症療法のみに目が奪われてしまうのは良くありません。結局何年、十何年経っても問題が根本的には解消せず抗不安薬を手放せない状態が続くことはまれならずあるため、薬物療法を行うにしても専門的な精神療法と組み合わせる必要があるのです。

パニック障害 2

このような発作は、多くの場合、電車に乗っている時など、逃げられない場面で起こってきます。すると、次にまた電車に乗ろうとする時などに、また発作が起きるのではないか、発作が起きたらどうしようという予期不安が出てきて、その不安がさらに緊張を高めることになり、再び発作が起こってしまいます。すると、予期不安がさらに高まり、それが緊張のレベルをさらに高め、再び発作が起きるという悪循環が形成されて、パニックが繰り返し起こるようになってしまいます。こうなると、内科でいくら心臓は大丈夫といわれても、実際に発作が起こるのですから、不安や恐怖が消えることはありません。

 このように、パニック障害は、ストレスなどによって日頃の緊張が高まっているところに、何らかの原因で偶然起こった不安発作を始まりにして、発作の時の恐怖感が予期不安を生み、予期不安がさらに緊張を高め、過度の緊張が再び発作を起こすという悪循環によって形成されています。

 パニック障害の治療にあたっては、安定剤や自律訓練法などによるリラクゼーションで日頃の緊張のレベルを下げるとともに、発作に対する自分なりの対処法を見つけたり、認知行動療法などによって発作が起きたらどうしようという考え方を変化させて、予期不安を低減し、悪循環を断ち切ることが大切です。 (圓山)

パニック障害 3

パニックに一度おそわれると、その恐怖感が、さらに不安、緊張を強めて、パニックが繰り返し起こるようになります。そして、またパニックが起こるのではないかという不安から、外に出れなくなったり、一人でいることができなくなったりします。これがパニック障害といわれるものです。

 人は誰でも、緊張がある一定のレベルを超えると、ドキドキしたり、震えたり、冷や汗をかいたりと、何らかの身体的な反応が出るようになっています。普段は、日頃の緊張のレベルと、超えると身体反応が出てしまうレベルとの間には距離があるので、結婚式のスピーチや突然後ろから脅かされた時など、極端に緊張した場面で、ドキドキしたり、震えたり、冷や汗をかいたりすることがあります。でもこの時は、緊張しているんだなと自分でも納得できるので、誰も心配はしません。ところが、ストレスなどのため日頃の緊張が高まっていると、日頃の緊張レベルと超えると反応が出てしまうレベルとの間が狭くなっているので、緊張する場面でもないのに、ドキドキして胸が痛む、震えなどに、突然おそわれることがあります。自分では緊張しているつもりはないのに、突然、狭心症を思わすような発作が起きるのですから、その驚きたるや想像を絶するものがあります。じっとしていれば、たいていは5分くらいで治まるものなのですが、このままどうなってしまうんだろう、心臓発作か、死ぬんじゃないかという恐怖を感じたままの5分ですから、非常に長く、耐え難いものです。

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